ただ
その一言が出てくるまでに
いくつもの言葉と
刺し違えた
気がします
以下、感じたことを書き記します
一行々々に書かれている言葉は
どれもとても重たいものなのに
詩という連なりになったときに
その重たさが軽やかさに変わり
心のなかを流れていきました
詩のなかの”わたし”が
詩を読んでいる”わたし”と重なって
そこに”あるわたしたち”が
現れました
自分はこれまで
人より多く
変わった経験をしてきた方だとおもいます
ある種の経験至上主義と申しましょうか
実際に死にかけたことや
不思議な光景を見たり感じたり
なかなか行けないいろんな場所で
いろんなタイプの人や生き物と
出会い関われてきました
ま、客観的に見て
ドラマティックな人生を
送らせてもらったきた方でしょう
だけど
それとは別に
こういう風にもおもってきました
経験したからといって
それですべてがわかった訳ではなく
むしろ経験していないからこそ
知り得ることもあるのではないかと
そして経験したがゆえに
手放さなくてはならないものが
あるということも
この詩集を読んで
そんなことをあらためて
おもいだしました
未経験である強み
一行目の未知が
二行目の未知と出会い
三行目の実感が響いていくような
そんな詩的な飛躍
詩の醍醐味に溢れている本だと
感じました
しかし
何度かこの詩集を読み返してみて
ある疑念が頭に浮かびました
ちょっと本作に対して
好意的に捉えすぎていないか?
もっと平たく言うなら
えこひいきしてないか?
と
作者の故永しほるは
身体を伴う場所
つまりは詩のパフォーマンスをするときなどは
”大江那果”と名乗っています
その大江くんとは
面白い縁で出会って
彼が詩のパフォーマンスデビューをした折には
自分がそのステージを用意したりしています
過去日記にも書いていますので
気になった人はご覧ください
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そんな訳で
彼は自分にとって
思い入れのある詩人なのです
これでは
えこひいきしていないかどうか
心配になってきます
ですので
勝手にこの詩集の強度のようなものを
確かめてみることにしました
方法は簡単です
声に出して読んでみました
朗読です
それも一人ではなくて
誰かの前で
できれば
この詩集の世界観から
もっとも遠くにあり
もっとも近しいとおもえる
存在に向かって
そこで
近所にある
児童センター的な
子どもが自由に遊べる施設へ行って
朗読をしてみました
四才の息子と
二才の女の子と
0才の女の子の前で
はたして
観念的な言葉も多く並ぶ
大人でも理解するのにむずかしい部分のある本書が
やっと言葉を使い出したり
まだしゃべれない子たちに
届くのか?
なるべく
パフォーマンスの面白さを出さないで
詩の言葉だけが届くように
素読みの状態で
彼らの前で詠んでみました
すると詠み始めてすぐに
詩から独特の調子が生まれて
意味なんかわからないはずの子どもたちが
不思議そうな顔で
聴き入ってくれました
二才の女の子が
好奇心に満ちた眼差しで
問いかけてきました
「これ、なあに?」
すると四才の息子が小声で
ささやきました
「おとなのしだよ」
なかなかの集中力で
未知なるものに対して
何かしらの実感を持ってくれた様子でした
どうやら自分の心配は
杞憂に終わったようです
詩集「あるわたしたち」は
意味を超えて
詩の響きとして
最高のオーディエンスである
彼らのなかに
しっかりと流れ
息づいていきました
もしかしたら意識上的には
すぐに忘れられるのかも知れませんが
忘れてからこそ始まる
そんなところが詩にはあるのかも
なんて
詠み終えてふと
おもったりしました
本詩集にご興味を持たれた人は
いくつかの購入方法がありますので
ぜひ下記よりお求めください
詩集『あるわたしたち』
故永しほる
https:/
おしまいに
自分にとって印象深かった
詩の一節をご紹介します
ビー玉の正しい遊び方が
結局わからないままだった
身に覚えのない記憶のなかで
私は太陽にビー玉をかざして
その中心にみとれていた
最後には
宝石のように扱うのにも飽きて
集めたビー玉を
粉々にして遊ぶようになる
【収録詩[parallel]より】
*
(桑原滝弥・今後の予定)
10/17(土)17:00~
イベント「蓬莱座オープンマイク4」
山口・旧蓬莱閣
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10/24(土)16:00~
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11/14(土)16:00~
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11/21(土)17:00~
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山口・旧蓬莱閣
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※詳細近日発表。
11/22(日),23(月祝)
山口市内野外イベント出演予定
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雑誌「シェルスクリプトマガジンVol.69」
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詩人類
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ほんとうにありがとうございました!
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詩をつくり響かせ合えたひとときは
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