2019年12月11日水曜日

詩の旅日記②(北海道中編)

お待たせしました! 

前回の旅日記 
http://shijinrui.blogspot.com/2019/12/blog-post.html 
からのつづきです~ 




* 



10/25(金) 
【桑原滝弥の”詩と出会って今日まで歩めた生存報告SHOW♡”】 

「俊カフェ4DAYS」二日目。この日の開演は19時。そしてオイラの会場入りは18時50分なり。 
”え!そんなギリギリで大丈夫なの?”と心配してくれる方もおられるかも知れませんが、ノー問題なのですよ、これが。会場は前日と同じ俊カフェで、今夜は完全なるワンマンショウなので、店主の古川さんに最低限のことだけ伝えて、あとはひとりで別の場所で準備をするのさっ。 
他の人はどうだかわかりませんが、オイラにとってライヴというのは、そこからまた生まれるためのある種の”殺し”の場でもあるので、大好きな人や場所から敢えて離れる必要があるのです。俊カフェも、古川さんも大好きで、とても幸せで落ち着いた気持ちになるので、それを避けて、己を飢えさせて、凍てつかせて、それでも尚燃えてくる炎を内側から起こしていき、本番で爆発させるのだ。 
て、こうやって書くとなんかカッコ良すぎるなあ…ま、でも、ホントいつも、たくさん人がいる現場で談笑をしていても、心のなかのどこかでは、孤独に持って行ってそこからお客さんと繋がる、そんな内面の手続きをしておったりします。つまりはかなり面倒くさい奴です。アイスミマセヌ。。 
それでこの日はひとりで地下鉄に乗って会場へ向かおうとしたのですが、俊カフェから近そうな駅がふたつあって、そのどちらで降りた方がより近いのかわからない。こんなときはスマホなんかで調べずに、地元の乗客の方に聞くに限る。という訳で、すぐそばにいた革ジャンを格好良く着こなしたオイラよりちょい歳上っぽい渋い男性に「〇〇辺りに行きたいんですが、どこの駅で降りたらいいですかね?」と単刀直入に質問。するとこの方が厳つめの風貌とは裏腹に大変親切な人で、「私もそこに近い駅で降りるので、途中まで案内しますよ」とさわやかに申し出てくださった。 
そこからの道中、「ご旅行ですか?」「いえ、仕事で」なんてやり取りを口火に、かなり会話が盛り上がった。やがてまもなく別れるポイントで、「煙草吸われます?そこの喫煙所で一服どうですか?」と革ジャン紳士が誘ってくれたので、結構入り時間までギリギリになっていたけど、これは付き合わねば、というか付き合いたかったので、迷わず着火! 
一服のあとの別れ際に革ジャン紳士が「また、何かあったら」と名刺をくれたのであとで見てみたら、なんと地元の高校の先生だった!しかもバスケ部顧問!先生、その節は大変お世話になりました。いつかメシでもいきましょ~ 

…そんなエピソードをオープニングトークで話すところからはじまった今宵のワンマンショウは、俊読裏話に、詩のワークショップ、パフォーマンス講座、人生相談(特に恋愛!)、占い、祈り、そしてスペシャルライヴと、これでもかというくらい盛りだくさんの内容。ま、企画の段階で適当にいろいろ書いてみたら、古川さんがノリノリになってくれたので、やめるにやめられなくなった部分もありますが(笑) 
料理教室では、オイラがよく行く名古屋のカフェ「路地裏のマタハリ」店主・美尾りりこさんが教えてくれて大好きになった”コーラの牛乳割り”を皆さんに振舞わせていただきました。料理じゃないじゃんとか言わないで!ちゃんとりりこさんに電話で配合具合とかも聞いたんだからっ。 
俊読裏話はあの日あの場にいたみんなだけの爆笑財産。恋愛相談は若者の相談をみんなで励ます展開。てなカンジで、ワンマンショウのはずなのに、気がつけばみんなでつくっている、なんかの一座ような空気のライヴになりました。だから最後のパフォーマンスも、みんなからの力をもらいまくって、めちゃくちゃ集中して突っ走ることができました。ちゃんと孤独で、ちゃんと繋がる、最高のお客さんでした。感謝♡ 
あと、忘れられないのは、この日はワークショップでみんなにある設定の元に詩作をしてもらって、その作品をシャッフルして、くじ引きで書いた人以外の人が朗読するということをやったのですが、翌日からのイベントの共演者もたくさんお客さんとして来てくれていて、その結果「書いた人=三角みづ紀さん:詠む人=URAOCBさん」という豪華な組み合わせが実現!!! 
これがほんとうに美しかったです。なんでこんなことが起きるんだろうというくらい、静かで、すごかった。詩はいつもすべてにあるんだと、あらためて思い起こさせてもらいました。ありがとう 
そんな訳で、翌日からのライヴが俄然楽しみになってきたところで、この日はおしらき~ 



10/26(土)パート1 
【いま、しあわせの詩を、あなたとわかつ】 

さあ、今日は昼夜2ステージ。にゃんばっていきまっしょい! 
まずは午前中に待ち合わせて、車で札幌から二時間ほどのむかわ町へ。 
5月の俊読のときに、本番中にオイラが災害のあった土地へ詩のライヴをお届けしていることを伝え協力を求めたら、お客さんから活動支援金袋(俊太郎さん特製)にたくさんの志をいただきました。そして、そのときスタッフをやってくれていた詩人の大江那果くんが、昨年発生した北海道胆振東部地震で被害が甚大だったむかわ町出身で、「ぜひ、僕のふるさとに来てください」と申し出てくれたことで、この日のライヴ「いま、しあわせの詩を、あなたとわかつ」は実現の運びとなったのでした。 
東京から参加の詩人のURAOCBさん、向坂くじらさんに、大江くん、オイラ、そしてボランティアスタッフとして運転役を買って出てくれたセクシー&キューティー&ポエティーな謎の美女・佐賀のり子さんという一行で向かい、現地で、俊読で素晴らしいアクト(俊太郎さんも絶賛!)を見せてくれた、白老町在住の小学四年生のハルちゃん&ママと合流。さらには会場ボランティアスタッフとして名乗り出てくださった後藤さん夫妻(ご主人が中学時代をむかわ町で過ごされたとのこと)も札幌から駆けつけてくました。 
会場は、むかわ町にある「法城寺」さんというお寺。震災後、たくさんのライヴや、町民の方々の心と身体のケアイベントの開催をはじめ、さまざまなボランティア活動を展開されてきた、地域の拠り所のような場所。 
ご住職の舛田那由他さんが、とても軽やかで、それでいて物事の核心をしっかりと見つめられておられるような方で、法城寺の開かれた場力と相俟って、「あ、今日はいいライヴになるな」と、おじゃまして二秒で確信しました。 
リハーサルをご住職の奥様と三人のお子さんが観ていてくださったのですが、事前に奥様が朗読家として日本全国でご活躍をされていることを伺っていたので、無茶ぶりでデュエット朗読をリクエスト。これがまたすごくよい朗読で、とてもリハとは思えない盛り上がりに。 
そして、この日いよいよ詩の朗読デビューを迎える大江くん(前回の旅日記をご覧あれ)が人生初リハをしようというところで、彼のお母様が仕事の合間をぬってジュースの差し入れに。そのときの大江くんの面食らった表情と、お母さんの天真爛漫でめっちゃ明るい笑顔のコントラスト、最高だったなあ。なぜだかお母さんが会場を去るときには自然発生的に心の込もった拍手が起き出す始末☆ 
そんなこんなで、初対面の人が多い現場なのに、いいカンジで一座感が出てきました。くじらちゃんとハルちゃんは入り口付近のホワイトボードに、みんなの似顔絵入りのかわいいイラストを仲良く描いてくれたし、よし、あとはむかわ町のみなさんにたくさん楽しんでいただくだけ…いざ、本番☆ 

まずはオイラが詩「宴ノ始メ方」でブチかまし、今回の会の趣旨と経緯を説明して、くじらちゃんへバトンタッチ。
毎年この季節に、福島、広島と災害のあった地域へ彼女と詩のライヴを届けて来て、今年で三年目。2017年春の俊読のときにお客さんで来ていた彼女に「なんでもいいから被災地でのライヴを手伝わせてください!」と声を掛けられたのが、つい昨日のことのよう。月並みな表現になってしまうけど、ほんとうに月日の経つのは早いものだと実感。いろんな状況の場所や人の前で詩をやってきた彼女だけに、しっかりと法城寺を詩の時空に誘ってくれました。 
二番手・URAOCB。東京のスポークンワードシーンを牽引するURAさんのアクトを、予期せぬ災害を経験し、今もその渦中におられる人たちに届けたいと思い、どうなるかわからないけど、それでも何かが生まれる予感がして、ずいぶん前から相談して、ついに迎えたこの日のステージ。お客さんはご年配の方が多く、まくしたてる部分や音楽的要素も強いURAさんのスタイルは果たして受け入れられるのか? 
結果から申し上げると、素晴しい、一生忘れることのできないライヴになりました。敢えてお客さんにスタイルを合わせずに、でもしっかりと内面の心の部分は寄り添っている、URAOCBという人間の素直で切実でストレートな祈りが爆発。おばあちゃんやおじいちゃんをはじめ、集まってくれた町民のみなさんの感動が袖にいるオイラにも伝わってきました。URAさんの声のふるえが、これまでも、そして今も、さまざまなことを堪えながら、必死に闘っていらっしゃるむかわの人の魂に共鳴したんだとおもいます。
こういう瞬間が起きると信じて、自分はこれまで自分以外のアーティストを、”被災地”なんて言い方で簡単には片付けられない、オイラとなんら変わらない誰かが暮らしている場所でライヴをやってもらってきたんだなあ、とあらためて思い起こした瞬間でした。今でもあの瞬間のふるえが自分の深いところにはっきりと息づいています。ありがとう 
ここでまたオイラが出て、お客さんとのデュエット朗読タイム。ノリノリのお客さんのなかからオイラが指名させていただいたのは、今回のライヴの具体的な相談にずっと乗ってもらい、法城寺さんを紹介してくださり、チラシ配布や町民だよりにも記事を掲載していただいた、むかわ町役場の今井喜代子さん。これまで電話で話したことしかなかった今井さんとはじめて対面し、いきなりステージで詩の声を掛け合わすことは、すごく不思議でもあり、とても納得のいくひとときでもあったりしました。電話でやり取りをしていたときから、どこかチャーミングな方だなと思っていたのですが、実際の今井さんはほんとうに素敵な方でした。おかげで客席も大爆笑。この人がいなかったら今日のライヴは絶対に実現できなかったのでした。 
つづいて登場のハルちゃんは、本人はかなり緊張していたようですが、ステージ度胸のある人なので、なんの心配もしないで見ていました。恐竜で有名なむかわ町に因んで恐竜の詩を詠んだり、俊読のときからずっと聴いてみたいとおもっていた、彼女自身のオリジナルの詩も詠んでくれました。お客さんの顔が見る見る柔らかくなっていきます。そして後半はヴァイオリンの独奏へ。お寺に響き渡る彼女の誠実なヴァイオリンの音色は、言葉とはまた異なる形で、お客さんの心へ、生きる力を紡いでいくようでした。 
そして最後は、地元の詩人として大江くんが登場。大学三年の彼が、高校まで過ごした故郷で、震災を経て、詩の朗読デビューを飾る。むかわの人間が、むかわの人間へ、詩を贈る。あまりにも劇的なこのシチュエーションに大江くんが呑まれるのか、それともそんな現実はただの入り口にして詩人としての仕事をまっとうするのか。冷静に、いや冷酷に、彼のステージを見ていましたが、しっかりと己と聴衆の狭間で詩を生みだしていました。それは、詩人としてちゃんと独りになった者にしか生みだせない、出会った一人ひとりの生命とつくりあげていく、まぎれもない詩のライヴでした。見事なデビューでした。おめでとう 
本編のあとに、オイラの詩「生き際について」を詠ませてもらいましたが、共演者、スタッフ、そしてお客さんのおかげで、もう二度詠むことのできない、そんな朗読になりました。ラストの挨拶で大江くんが声を詰まらせて、言葉にならなくて、自然とお客さんから拍手が起きて、いま、たしかに、ここにいる人と人は、詩をわかちあっている、と感じました。 

尚、むかわ町の復興状況ですが、遅々としてなかなか進んでいない部分が多々あるとのこと。引き続きボランティアの方などの力を必要としています。もしも気になった方がいましたら、以下のFacebookページをご覧になってください。 
「むかわ町復興支援ネットワーク」https://www.facebook.com/mukawa.nw/ 
また、会場となった法城寺さんでは、震災によって倒壊した鐘楼堂の再建立に向けた寄付を、クラウドファンディングで募っています。詳しくは下記リンク先をご覧になってください。 
https://twitter.com/mukawa00houjouj/status/1191342198299607040 
https://ameblo.jp/hiujouji/entry-12548823645.html 
そして、本日午前10時50分より放送のNHK総合の番組に舛田那由他ご住職が出演されます。こちらも、ぜひ! 
「あの日 わたしは~証言記録 北海道胆振東部地震~▽北海道むかわ町舛田那由他さん」 
https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&ch=21&date=2019-12-11&eid=22488&f=2266 

とにかくまた必ず、むかわ町へ帰ってきます。 
どうかこれからもよろしくお願いいたします。 
愛してます 



と 
ここまで書いて 

う~む 
またもや今回も長くなってしまった! 

つづきの 
10/26(土)パート2以降は 
なるべく近日中に書きますので 
楽しみに待ってておくれ~~~ 




* 



そして開催まで 
いよいよ二週間を切りました 
↓コチラもよろしくにゃん↓ 



◎ご予約/まだまだ受付中!!! 

桑原滝弥・東京生活ラストLIVE 
【また、あう詩まで】 

12/24(火)20:00~ 
東京・クロコダイル 


「かるがるしく詩人となのりなさい」 そう叫びつづけてきたわたしの、新たな旅立ちに向けての独り舞台。新旧作織り交ぜながら、ソロでたっぷりと二時間、”詩”つづけます… 
http://shijinrui.blogspot.com/2019/11/blog-post.html