2019年12月18日水曜日

詩の旅日記⑤(東京〜大阪編)

この秋の 
詩の旅振り返り日記 

今日は 
東京と大阪でのことを 
書いてみます~ 




* 



11/10(日) 
【おいしいポエムのつくり方】 

前回日記の宮城から二日後、オイラは東京は四谷三丁目にある「珈琲と本 あひる社」のステージの上に立っていました。ブッキングライヴでも、オープンマイクでも、スラムでもない、一風変わったステージに。 
常々、おいしいゴハンの食べ方がたくさんあるように、詩の味わい方もまだまだ無限にあると考えているオイラが思いついた「おいしいポエムのつくり方」。内容は以下の通りです。 

(1)それぞれ異なる特性・バックボーンを持つ詩人九名が登場。 
(2)まずお客さんが九名のなかから一名の詩人を選ぶ。 
(3)その詩人が自分の持っている作品からひとつ朗読して、次に朗読する詩人を指名。 
(4)指名された詩人は、前の詩人が詠んだ詩に何かしら呼応する(直接的でなくてよい)と感じる自分の詩を詠み、また別の詩人を指名。 
(5)これを九人目まで繰り返し、独立したそれぞれの詩人の詩を、この日だけのひとつの声の作品にしてみようという試み。 
(6)ルールは、即興詩ではなく、すでに書き上げている自身の既存の作品を朗読すること。 
(7)また前置きなどのフリートーク、音源、楽器使用は禁止。詠み終わりのお辞儀による拍手もナシ。その時間は詩の言葉だけでつないでいく。 
(8)これを前半、後半、エンディング(短編詩)で三周する。 
(9)狙いは、言葉というものの、常に他の言葉に影響を受けていく性質を利用して、ぞれぞれすでに成立していた詩から、新たなひびきを探りだすこと。 

イメージしたのは、冷蔵庫の有り合わせの食材で料理したら、”めちゃくちゃウマいのができちゃった”みたいなカンジ。 
出演は、御徒町凧、文月悠光、蛇口、道山れいん、伊藤晋毅、結城色、吉田一縷、オイラ、そして友情出演の覚和歌子という、九詩人。 
誰もやったことのないことをこれからやる訳で、出演者にもお客さんにも通常のイベントとはまた異なる緊張感があって、始まる前はなんとも言えない空気が会場内に充満していたなあ。 
お客さんの指名で文月さんからスタートした一周目は、バチバチと火花が散る音が聴こえてくるような、まるで刃物でお互いの内蔵を抉り合っているようなリレーに。初対面同士の人も多かったし、そもそも詩を書くというのは孤独な作業なので、そんな孤独同士が不器用にひとつのものを作り出そうとして、歩み寄ったり、突っぱねたり、抱きしめたり、スカしたり、それでも詩というなんだかよくわからないもので繋がりあっていて、一緒に走っている醍醐味がありました。あと、お客さんの存在もデカかった。間違いなくこのライヴの、十人目の詩人でした。 
終わったあとの開放感がハンパなかった一周目。「なんであの詩のあとに、この詩を詠んだのか」という振り返りトークで、「あの詩のあの部分が、この詩のこの部分に繋がれていたのか」という理がわかったりして、言葉やおもいが引き継がれていくことの根っこのような部分が垣間見えて、味わい深かったです。 
休憩挟んでの二週目は、みんな心も体もほぐれた状態なので、自然な連帯感につらぬかれたリレーに。お客さんもとても楽しそう。その上で、一周目では踏み込めなかった、創作やパフォーマンス上の、さまざまな飛躍を各々が試みていた気がします。 
エンディングとなった三周目は、一分程度で詠み切れる短い詩を繋げることにしましたが、ここにもこの設定だからこそ味わえる詩の面白さが出ていました。ラストは晋毅くんがまったく詩ではないような、だからこそもっとも”詩”なフィニッシュを決めてくれました。 
17年ぶりに共演した凧の変わらない緊迫感、観るたびに変化している文月さんの浸透力、盟友・蛇口のインテリジェンスモンスターっぷり、れいんさんの一歩引いた静かな迫力、晋毅くんのアウトボクシングとシュートセンス、色くんのサイレントな叫び、この日が詩の朗読デビューとなった一縷さんの末恐ろしい確かなる不確かさ、そして、すべてのパフォーマンスを司るかのように稟としてうたった覚さんの祈りの芯。 
終わったあと、オイラのパフォーマンスをたくさん観てくれている人に、「これまで何度も聴いてきた詩なのに、まったく感じ方がちがった」と言ってもらえて、そう言えば他の出演者も、このイベントだからこその詩を聴かせてくれていたなあと、あらためて、詩人の底力を実感しました。ありがとう 
最後に、一緒になっておいしいポエムをつくってくれたお客さまと、全面協力をしてくださった会場となったあひる社の皆さま、そして、何ヶ月も前からともに考え、感じ、踏み出してくれた、このイベントの全般業務を担ってくれた、編集者であり、舞台人の、甲斐荘秀生さんに御礼を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。 
おしいいポエム…かなり好評であったのと、自分でも手応えを感じましたので、またやりたいなあとおもっています。そのときは、ぜひ、召し上がりに来てくださいね☆ 



11/17(日) 
【ことぶき!FOREVER】 

前夜からあっくんと大阪入りして、九泊十日の父子二人旅がスタート! 
この日は、20歳代前半のバンドマン時代からの親友Tくん宅にあっくんを預けて、大阪在住の詩人であり、我が魂の妹である、河野宏子主催のオープンマイクイベント「ことぶき!」にゲスト出演。 
会場の、漫才コンビ「ヤング」の嶋仲くん(最高に詩人な芸人です!)が経営する「ライブ喫茶 亀」の移転に伴い、今回が最終回とのこと。前回来阪したのがこのイベントの三周年だったし、亀という場所にもよそ者なりに愛着を感じていたので、やはりさみしい。。
よ~し、ここは一丁、そんな湿っぽい気分をフッ飛ばすそうような、イカしたポエムで、パ~っと散開しようじゃないかいっ。最終回ということで、たくさんの人が集まっている。おお、今年の春まで関東におられたポエムサークル「みゅう」代表の藤鈴呼さんも来てくださっている。うれしいなあ。 
で、本番。”関西一おおらかなオープンマイク”を謳っているだけに、とても自由な雰囲気で、パフォーマンスする人も実に多種多様。河野のMCもいろんな意味でおおらか(笑)。実はこのMCこそが、そのオープンマイクの特色であったり、それぞれの詩やパフォーマンスの余韻を決定づける重要な要素のひとつだとオイラはおもっています。 
そして、オープンマイクはカッコつけてオスマシする場ではなく、失敗してもいいから果敢に挑戦する試し合いの場。という訳で、イベント中盤に河野と二人で、互いの詩を連ごとに詠み合っていく”ステレオ朗読”にトライしました。9月のtamatogiでゲストの覚和歌子さんに提案してもらったこちらのスタイル(そのときの模様→ https://youtu.be/DL8D923QZYM)。お客さんもドキドキしながら見守ってくれるなか、長い付き合いの河野と、まるで初対面のような気分で詩を詠み合った時間は、このことぶき!だからこそ生まれた詩のひとときでした。 
後半戦。関西のポエトリーシーンや、ことぶき!を支えてきた人々のパフォーマンスがつづき、聴き応え、浴び応えアリ。そんななか、オイラが印象に残ったのは、短歌を独特のテンポとトーンで詠み上げたアビスくんと、己の演技メモのようなものを切迫した空気感で声にした俳優の原住達斗くんの、若い二人。最後にこういう人たちが輝けるということが、このイベントがちゃんと開かれていたものであった、何よりの証だとおもいます。 
おあとはオイラのゲストタイム。もうこれは余裕なんかカマさずに、全力で突っ走るしかないので、そうしました。みんな、いろんな、すごい顔をして観てくれていた。集まってくれた一人ひとりの”あなた”のおかげで、今夜もただのクズが、詩になれました。ありがとう 
そして、ラストは河野。ドキュメントであり、メルヘンであり、アジテーションであり、モノローグであり、ただのラヴな、河野にしかできない、わかりにくくて、ちゃんと伝わる、”ことほぎ”でfin. 
また、どこかで、テキトーに、会えたらいいね。会おうぜ。ひとまず、今日のところは、おつかれさまでした~ 



次回はついに 
詩の旅日記最終編! 

山口~千葉の 
ライヴな日々を振り返ります 
おっ楽しみに♪ 




* 



そして開催まで 
いよいよ一週間を切りました 
↓コチラもよろしくにゃん↓ 



◎ご予約/君のことも世界のことも自分自身のこともまだ… 
  あきらめちゃいないから、受付中!!! 

桑原滝弥・東京生活ラストLIVE 
【また、あう詩まで】 

12/24(火)20:00~ 
東京・クロコダイル 


「かるがるしく詩人となのりなさい」 そう叫びつづけてきたわたしの、新たな旅立ちに向けての独り舞台。新旧作織り交ぜながら、ソロでたっぷりと二時間、”詩”つづけます… 
http://shijinrui.blogspot.com/2019/11/blog-post.html