2019年3月25日月曜日

試み

自分は 
現実に経験したことを 
詩にするまでに 
結構時間がかかるほうだとおもいます 



ですので 
いま二歳半の息子を育てていますが 
育児の詩なんてまったく書けません 

どうしてもタイムリーなものを 
というオファーの場合は 
表面上はそのテーマに沿いつつも 
詩を成す根幹は 
かなり古い記憶に担ってもらったりしています 

だから現在 
発表している新作と呼ばれる詩も 
三年以上前の自分がやっと目覚めて 
暴れだした結果だったりします 

読み返して 
これは一体いつの自分なんだろうと 
推理したりすることもしょっちゅうです 



かとおもえば 
未来の自分としか表現できないような 
よくわからない自分が出てきて 
書かされてしまうこともあります 

そのせいか 
数年前に書いた作品を 
ステージで朗読していて 
”そういうことだったのか!?” 
と、ある日突然 
現実の自分が追いついて 
おったまげるなんてことも 
たま~にあったりします 



過去だったり 
未来だったり 
よくわからなかったり 
そんな自分が書いた詩が 

いつの時代の 
”いま”を生きる 
あなたへ 
届くのか 


それってやっぱり 
すごくどうでもよくって 
素敵な試みだな 
と、おもうのです 




* 



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わかっているということは 
わかっていないということだから 

楽しいはずの宴に背を向けて 
真夜中にひとりで彷徨いたくなるし 
薄暗い部屋の片隅で詩を書き 
生まれなかった命に語りかけたりする 

わかっていないということは 
わかっているということだから 

悲しいはずの旋律に力が湧いて 
朝靄のなかですべてと繋がりたくなるし 
取り返しのつかぬ愛を己に見出し 
死にいく時代の神の声を聴いたりする 

【掲載詩 ~試み~ より】