現実に経験したことを
詩にするまでに
結構時間がかかるほうだとおもいます
ですので
いま二歳半の息子を育てていますが
育児の詩なんてまったく書けません
どうしてもタイムリーなものを
というオファーの場合は
表面上はそのテーマに沿いつつも
詩を成す根幹は
かなり古い記憶に担ってもらったりしています
だから現在
発表している新作と呼ばれる詩も
三年以上前の自分がやっと目覚めて
暴れだした結果だったりします
読み返して
これは一体いつの自分なんだろうと
推理したりすることもしょっちゅうです
かとおもえば
未来の自分としか表現できないような
よくわからない自分が出てきて
書かされてしまうこともあります
そのせいか
数年前に書いた作品を
ステージで朗読していて
”そういうことだったのか!?”
と、ある日突然
現実の自分が追いついて
おったまげるなんてことも
たま~にあったりします
過去だったり
未来だったり
よくわからなかったり
そんな自分が書いた詩が
いつの時代の
”いま”を生きる
あなたへ
届くのか
それってやっぱり
すごくどうでもよくって
素敵な試みだな
と、おもうのです
*
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わかっているということは
わかっていないということだから
楽しいはずの宴に背を向けて
真夜中にひとりで彷徨いたくなるし
薄暗い部屋の片隅で詩を書き
生まれなかった命に語りかけたりする
わかっていないということは
わかっているということだから
悲しいはずの旋律に力が湧いて
朝靄のなかですべてと繋がりたくなるし
取り返しのつかぬ愛を己に見出し
死にいく時代の神の声を聴いたりする
【掲載詩 ~試み~ より】