2021年8月28日土曜日

たそがれ龍生の三つの詩集を読んで

三ヶ月のうちに 
三冊の詩集を出す 
詩人がいたら 

谷川俊太郎氏でもない限り 
おい大丈夫か? 
生き急ぐなよ! 
と声を掛けるだろうが 

それが”たそがれ龍生”なら 
おおいいねえ! 
もっと出さないの? 
と逆に囃し立ててしまうだろう 



北海道・釧路在住の 
絶叫系説法僧侶詩人・たそがれ龍生 

彼のことは三年前の共演時に 
このブログでも書いた 
https://shijinrui.blogspot.com/2017/05/blog-post_16.html 

あれまでも 
あれからも 
彼とは忘れた頃に電話や手紙のやり取りをしていて 
そろそろ会いたいなあなんて 
おもっていたところだった 



龍生の詩は 
一貫して他愛なき愛に溢れていて 
溢れすぎて洪水となって 
こちらを飲み込み 
まるで望んでいなかった 
だけど嫌いじゃない 
不可思議な境地へと誘ってくれる 

同じような毎日を過ごしながら 
振り返ればひとつとして 
同じ日なんてなかったことに気づくような 
そんな読後感を携えて 

なんだこんなもん 
と乱暴に読み進めて 
五分後にごめんなさいと 
涙することもしゅっちゅうだ 

その辺に転がっている石ころを 
無造作に拾い上げて 
それを生涯の友とする 
そんな感覚で彼の詩と出会ってくれたら 
石ころ仲間として嬉しいです 



たそがれ龍生詩集 

◇黄昏哀歌 
https://www.amazon.co.jp/dp/4815024677 

◇祈り 
https://www.amazon.co.jp/dp/4815024685 

◇エレジア 
https://www.amazon.co.jp/dp/4815026262 



調べたら 
三冊目の「エレジア」が出た五月から 
さらに三冊出版されていた! 
しかもこの月末にはさらに二冊同時発売みたいだ!! 

龍生 
これじゃあ月刊誌じゃないか!? 
あののんびりした口調のきみのどこに 
筆先を爆走させる 
ジェットエンジンが付いているのか知らないけど 
そのまま行ってくれ 

おれもおれの走り方で 
ぶっ飛ばすよ 



おしまいに 
三冊の詩集のなかから 
心に響いた詩句を付記しておきます 

もちろん詩は 
コピーライティングではないので 
すべての言葉の連なりから 
漂い包んでくれるものだということは 
重々承知の上で 

それでも尚 
このブログを読んでくれている 
あなたに知ってほしくて 
作者本人の許可を得て 
掲載させていただきます 

()内は 
作品名/詩集名 です 


出会えますように 
詩で 




* 



感情的なことをしてから 
風に会いに来たんだよ 
(感情的なこと/黄昏哀歌) 

おもしろいのにつまらなく泣く 
とまどうものを楽しみにしてて 
(白黒斑模様で/黄昏哀歌) 

この手のひらがかたかたと 
鳴り止まないんだぜ 
(手のひら/黄昏哀歌) 

ふがいなさと研鑽の黄昏の街角に 
私はさらさらと影踏みの告白を 
私はわだかまりの無我夢中を 
あなたにそっと捧げています 
(わだかまりで告白を/黄昏哀歌) 

ありきたりなものを転がしながら 
ここにある宝物で遊んでいる 
(ルナ/黄昏哀歌) 

私は私を耕しながら 
静かにわらっていたのです 
(冬のやさしさ/黄昏哀歌) 

自分のど真ん中に真っ直ぐに 
向き合うことかもしれませんね 
(感謝するのは/祈り) 

晴天の空の下 
真っ逆さまに落下して 
おだやかにふと泣いて 
あなたと一緒に帰りましょう 
(おだやかにふと/祈り) 

許すことしか私は知らない 
やさしいことしか私は知らない 
どうしたとかこうしたとか 
そんなこと知らない 
(やさしさに/祈り) 

観て守っていたのです 
観て突き放していたのです 
そのままを観ていたのです 
そのままで観ていたのです 
(観ていたのです/祈り) 

夜明けが待ち遠しい時代がある 
(夜明け前に/祈り) 

祈りの姿は 
いつまでもありえます 
(祈り/祈り) 

ララバイ ララバイ ララバイ 
こんなすてきな険しい世界 
(ララバイ/エレジア) 

なんのためらいが必要なんだい? 
今命かけてやるのに必要なのは 
魂の全てを散らす覚悟だけさ 
(テディルーリー/エレジア) 

確かなことは今生きていることだけだね 
それってもしかしたらすごいことかもしれないね 
(ナイトランウェイ/エレジア) 

わかっていた 
わかりきっていた 
だからわらっていた 
(ブレイクサマー/エレジア) 

見つめて見つけて見つかって 
(フラジャイルジーマイン/エレジア) 

とりえなんか 
とっくの昔に捨てたよ 
(デューティライ/エレジア) 

北風が過ぎてゆく 
しばれあがった大地を過ぎてゆく 
残酷な陽射しが残照を残す 
私の影がうすくなる 
(潮騒/エレジア) 

静かに静かに沈黙して 
ぶち壊すみたいに 
(わからないその2/エレジア) 

絶叫出来るのも今のうちだなと 
毎回勝負かけているみたいだね 
(サイレンス/エレジア) 

確かに歩くことって 
どんなことなのだろう 
(雨宿り/エレジア) 

私は冷酷だから 
美しくなりたいよ 
深い深い闇があるから 
寝たいよ 
(空中分解/エレジア) 

暖かい日差しは少しさみしい 
すっきりした晴天の天空 
いつも見ていたはずなのに 
(ラプソディ/エレジア) 

また詩で会おう 
(あとがきにかえて/エレジア) 




* 



(桑原滝弥・今後の予定) 

8/31(火)発売 
雑誌「東京荒野 第26号」 
発行・私誌東京 
https://www.tokyokouya.com/ 

8/31(火)配布 
会報誌「Kyoko oh! dango club」 
発行・神田京子後援会 
http://kandakyoko.com 

9/11(土)16:00~ 
講座「詩の扉を開く」 
山口・カルチャーどうもん 
https://c-doumon.com/%E8%A9%A9%E3%81%AE%E6%89%89%E3%82%92%E9%96%8B%E3%81%8F/  

9/18(土)17:00~ 
イベント「蓬莱座オープンマイク15」 
山口・旧蓬莱閣 
http://shijinrui.blogspot.com/2021/01/2021.html 

9/25(土)発売 
雑誌「シェルスクリプトマガジンVol.74」 
発行・USP研究所 
https://www.usp-lab.com/pub.magazine.html  

9/25(土)16:00~ 
講座「詩の扉を開く」 
山口・カルチャーどうもん 
https://c-doumon.com/%E8%A9%A9%E3%81%AE%E6%89%89%E3%82%92%E9%96%8B%E3%81%8F/ 


◇公開中 
動画 
「蓬莱座オープンマイク一周年」 
https://youtu.be/z_5SERnsino 

◇発売中 
電子詩画集 
「国際化と標準化」 
USP研究所 / Kindle版 
https://www.amazon.co.jp/dp/B08GKLMPLT/ 



【執筆・公演・その他、詩に関する依頼先】 
TEL:090-8545-2708 
takiyakuwahara@yahoo.co.jp 
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