とても暑かったことを覚えています
それが外気によるものなのか
それとも己の内から溢れ出たものなのか
今となってはわかりません
ただ
もう後戻りができないということだけは
15歳のまだ子どもだった自分にも
よくわかりました
あれから30年・・・
いろいろなことがありました
たしかなる風も吹いたし
だれよりも強く艶っぽくなれた瞬間もあったし
かと思えば呼吸の仕方を忘れてしまったり
耳鳴りがずっと”死ね死ね死ね・・・”とうるさかったり
たくさんの女を悦ばせて泣かせて
たくさんの男を奮い立たせて裏切って
”ごめんなさい”も”ありがとう”もいう資格がないから
生傷の絶えぬ転び方を選んで
スポットライトの遥か彼方から”生きろ”と命じられ
白紙の原稿の最果てから”愛せよ”と突きつけられ
真夜中の公衆便所の宇宙から黙祷を捧げ
発狂の朝に産声を上げて
それでも
こんなわたしを見てくれているきみへ
こんなわたしの詩を読んでくれているあなたへ
こんなわたしにささやかな何かを託してくれたおまえへ
恩返しも復讐も
まだまだ中途半端だけど
ならばその半端さを極めてみせよう
己の弱さを信じてみせよう
生まれすぎて
まだ死ねない
すべてのわたしへ
その日は
とても暑かったことを覚えています
ちょうど今みたいに∞
*
桑原滝弥
表現道生活30周年記念LIVE
「生まれすぎて」
2016年8月28日(日)
開場/18:00 開演/20:00
(終演/22:30)
◇出演
桑原滝弥
◇料金
予約/3000円 当日/3500円
(税込。飲食代別途必要)
◇会場
クロコダイル
(東京都渋谷区神宮前6-18-8 ニュー関口B1F)
TEL:03-3499-5205
http://
◇お問い合わせ
詩人類
TEL:090-8545-2708
takiyakuwahara@yahoo.co.jp
一九八六年、役者としての初舞台から30年…
詩人となった"あの日の少年"は
今夜もステージの暗闇から産声を上げる!!!
【プロフィール】
桑原 滝弥 くわはら たきや takiya kuwahara
詩人。1971年7月14日、三重県四日市市出身。
1986年8月28日、俳優として初舞台。演劇・音楽・パフォーマンス活動を経て、1994年、詩作を開始。 処女作『えりなのプロフィール』は、新潮文庫『あなたにあいたくて生まれてきた詩 / 宗左近・選』に収録。 以降、「あらゆる時空を" 詩 "つづける」をモットーに、紙誌、舞台、映像等、様々な媒体で作品を発表。詩人・谷川俊太郎との競演イベント『俊読』や、詩のオープンマイク『tamatogi』、言の葉Tシャツの製作などの企画も多数手掛ける。海外での活動や、妻の講談師・神田京子との詩芸ライヴ、他ジャンルとのコラボレーションも積極的に展開。東日本大震災被災地の歌『たしかなる風 ~ふるさと久之浜~』『トブシルのうた』を作詞(作曲・谷川賢作)。著書に詩集『花火焼』(にこにこ出版)ほか。
今夏、最新作となる写真詩集『メオトパンドラ』(写真家・キッチ ンミノルとの共著)をFOILより刊行予定。2016年8月28日(日)渋谷・クロコダイルにて、表現道生活30周年記念ライヴを開催。
「桑原滝弥・情報ブログ」 http://