2016年6月24日金曜日

センチメンタルじゃないジャーニー

ZINE・PAPERDRIVEに連載中の 
自伝エッセイ「詩人失格」で 
過去にこんなことを書いたことがありました 



 …こんな自分でしたが、翌年の春に同い年の彼女ができました。友人の紹介で知り合った、お嬢様学校に通うヒカルちゃんという子でした。 
 厳格な両親に育てられた、学業優秀な大人しい女の子だったのですが、顔がめちゃくちゃ可愛くて、小リスのような愛くるしさでした。 
 付き合ってからわかったのですが、彼女は文学少女で、ある日、 
「これ、滝弥くんにそっくりだから、よかったら読んでみて」 
 と一冊の本を渡されました。 
 それは太宰治の「人間失格」でした。 
 次に彼女は、「これも滝弥くん」と言って、新たな一冊をくれました。芥川龍之介の「河童/或阿呆の一生」です。 
 気が付くと自分は自傷行為をするようになっていました。特に死ぬ気はなかったので、リストカットではなくて、根性焼きをしていました。皮膚の焦げる匂いを嗅ぐと、落ち着いてよく眠れました。 
 そうこうするうちに、なんだか一人になりたくなってきて、ヒカルちゃんと別れました。 
 別れた直後に彼女から最後の一冊が届きました。何年も読まずに放置していたのですが、それは、シルヴァスタインの「ぼくを探しに」でした… 

~自伝エッセイ「詩人失格第二回・愛を口にするとき」より一部抜粋~ 



連載ではここから別の展開に移りますが 
実はこのエピソードの後 
オイラはヒカルちゃんに電話を掛けています 
「素晴らしい本を送ってくれて、ありがとう」 
と 

冒頭からいきなり 
引用で始まりましたが 
何が言いたかったのかと申しますと 
今回のブログは活字(文字)もののお知らせ中心なので 
ふと、このエピソードを思い出したのです 



定期刊行物に連載をしていると 
”読み捨てられる雑誌のように 
 私のページがめくれるたびに・・・” 
と16歳の伊代ちゃんのような 
不安な気分になったりすることがあります 
(作詞・湯川れい子さん・・・サスガだわ~) 

でも、十代の頃の自分が 
数年寝かしたあとに「ぼくを探しに」と出会って 
メチャクチャ感動したことを思い出すと 
いつ、どのタイミングで、 
だれ(読者)と出会えるかってわかんないよなあ、 
と希望が湧いてきます 



今はなんでもすぐに 
消費されていく時代のようで 
SNSなどでも即座にリアクションが返ってきて 
そうでないものは無かったことにされがちな風潮がありますが 
実は数年経ってから 
自分が何を書いたのかすらすっかり忘れている頃に 
「あの詩が好きでした」 
とライヴに来てくれたり 
「あの文章の世界観が忘れられません」 
と原稿の依頼をいただいたりすることは 
意外とたくさんあります 

逆の立場で 
自分が企画のオファーを出すときや 
イベントに足を運ぶときも 
その人の作品を読んで 
数年経ってからということが多いです 



ですから極端なことを言うと 
今を生きている人に向けて 
もちろん書いているのですが 
心のどこかで数年後に出会う人に向けて 
もっと言えば自分が死んだあとに生まれてくる人に向けて 
言葉を綴っている部分があります 
いや、だからこそ、 
書きたいのかな 

そう考えると 
かつて古代の人たちが 
文字を神々との通信手段と捉えていたことも 
なんだかうなずける気がしてきます 



余談ですが 
その後ヒカルちゃんとは 
電話を掛けたことがキッカケで交流が再開して 
友人としてライヴに何度も遊びに来てくれたりしました 
その関係は彼女が二十代半ばで 
お嫁さんになるまで続きました 

今頃何をしてるのかなあ? 
もしかしたら 
このブログを読んでくれてたりして 笑 



* 


◇6/19(日)発行 
ZINE「PAPERDRIVE 第7号」 
https://twitter.com/PAPERDRIVEnews?lang=ja 
 連載自伝エッセイ「詩人失格」第七回掲載 
 野良マフィア30人に囲まれての絶対絶命の危機や 
 インドでの詩の朗読(ポエトリーリーディング)への目覚めなど 
 今回は26~29歳頃のバックパッカー時代を振り返っております 
 リンク先の配布場所などでゲットしてね! 


◇6/25(土)発売 
雑誌「シェルスクリプトマガジンVol.39 2016 july」 
https://www.usp-lab.com/pub.magazine.html 
 毎号コンピューター用語をタイトルに詩を作る連載シリーズ 
 今回は「パールとルビー」というお題で書いております 
 (そういう名称のプログラミング言語があるのよ) 
 女の子が朗読したらカッコいいかも!てな作品に仕上がりました 
 全国書店、及び、amazonなどで発売〜 


そしてそして・・・ 

◇8/28(日)20:00~ 
桑原滝弥・表現道生活30周年記念LIVE 
「生まれすぎて」 
http://shijinrui.blogspot.jp/2016/06/blog-post_6.html 
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